「教室だより版」より

「自立」ということ

教室だより令和3年5月号より

「自立した子供に育てる」よく聞く言葉だと思いますし小黒珠算教室でも指導理念の一つに挙げている言葉です。ではこの「自立」と聞いてどんなことを思い描くでしょうか。辞書で調べると

【自立】
《名・ス自》自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやって行くこと。

と出てきます。確かに「自立した人」と聞くと「他の人に頼らずに一人で何でもできる人」を思い描くかもしれません。

ですが私の考える「自立」は少し違います。
私の考える「自立した人」は「他の人に頼ることのできる人」です。

インターネットが普及する前、人との交流は現実世界で会える人に限定されており、その地域の中で「知識が豊富な人」が「賢い人」であり、その地域の中で「他の人にはない技能を持っている人」が「できる人」でした。ところが現在ではネットで調べれば知識は無尽蔵に得られるし、技能を持っている人も世界中から探すことができます。さらにAIの進化により「言われたこと(マニュアル通りのこと)をする仕事」というのは全てAIに置き換わるそうです。

つまり現在は「(ネットで調べられる程度の)知識」や「(マニュアル通りに行えばできる)技能」というのはあまり価値がありません。「自分ができる(知っている)ことだけやる」という人間は必要とされない時代になってきているのです。

ではこれから求められるのはどんな能力なのでしょうか?それは「自分ができない問題にぶつかった時にどう対処するか」という「問題解決能力」です。そしてその「問題解決」に必要なのが「他の人に頼る力」です。知らないことはネットや文献で調べることも大切ですが、直接詳しい人に質問する方が早いし、気がつかなかった新しい発見があるかもしれません。また1人では時間が足りない様な大きな仕事もたくさんの人に協力を頼むことで時間内に終わらせることもできるでしょう。

1人では解決できないことも他の人に頼って問題を解決できる力こそがこれからの「自立」だと思います。1人で出来ることしかしない人はそのマニュアルやシステムに依存した人間、つまり「自立できない人」なのだと思います。

そろばんの授業でも「わからない問題」「できない問題」にぶつかった時に黙ってしまう子、そのままにしておく子、が多くいます。そう言った子に対してこちらから「〇〇ちゃん、ココがわからないの?それはね・・・。」と教えてあげることは出来るし、その方が私たちも簡単です。ですが、それでは前述の「できることしかしない子」「自立できない人」になってしまいます。

私たちは生徒自ら「わかりません。教えてください。」というのを待ちます。我慢比べです。

よく保護者の方から「うちの子が〇〇がわからないと言っているので教えてあげてください。」と言われることがあります。(そろばんにご協力をいただいてとてもとても嬉しいことなのですが)それには「〇〇ちゃんから先生に質問する様に伝えてください。」と言っています。決して手抜きをしているわけではございません(すぐに教える方が楽です)のでご理解をいただけると嬉しいです。