そろばんはクネクネ道を進むようなもの①

大きく曲がりくねった小高い道(曲がった平均台の様なもの)があったとします。幅は50cm程度、高さは10cmくらい。落ちても怪我をしないくらいだと思ってください。その道を「スタート地点からゴール地点まで落ちない様に進みなさい。制限時間はありません。」という課題が出たとします。たとえ幼稚園生でも慎重に歩いていけば楽にゴールに辿り着けるはずです。

ところが、中には「ぼーっとよそ見をしながら歩いたり」「急いで走ったり」して道から何回も落ちてしまう子が出てきます。(中には、というより半分以上の子がそうなります。)

でも、その道の高さが2mだったらどうでしょう?落ちたら怪我をしてしまいそうな高さです。おそらく全員が落ちることなく渡り切ることができると思います。

そろばんの基礎練習(そろっぴ)はこんな感じです。問題と繰り上がり(下がり)の表を見ながら慎重にやっていけば間違わないようになっています。ところが「ぼーっとして問題を見間違う」「急いで繰り上がりの表を見ず、間違った繰り上がり方法で計算する」といった「いい加減さ」で間違ってしまうのです。

そういった子にいくら教えても無駄です。「間違っても大丈夫」と心の奥底で思っているから間違ってしまうのです。「サボっている」というのとは少し違います。本人は真剣にやっているつもりでしょうが、その真剣さが足りないのです。その証拠に、何度も間違っている問題も目の前に怖い顔をして立っているだけでほとんどの子が間違わずに最後まで計算できます。

まずは「間違ってはダメだ」ということを本当に理解してもらうことから始めないといけません。時には大きな声を出すこともあります。生徒が涙することも多々あります。でも、その意識改革をしっかりしないとそろばんはできるようになりません。

そしてその意識改革ができた子はそろばんだけでなく学校の勉強やスポーツなどいろんなことに活躍できる子になると思っています。
今回は基礎練習(そろっぴ)の話でしたが、上の段階に進むとまた変わってきます。来月はその話をしたいと思っています。

(教室だより令和3年8月号より)